ガメラを観に行った。

 『小さき勇者たち GAMERA』鑑賞。総合評価としては100点満点中の70点ぐらいはあげてもいい。特撮面では金子ガメラを踏襲しているせいか実に良く作られていて、ガメラが回転飛行する時に飛行機雲が4本ねじれるところなんか芸が細かい。同じく子供向けでも特撮・本編両者とも見るべきところか無かった(あるにはあったがもう忘れてる)平成モスラ3部作と比べれば、100倍はマトモである。
 しかし、昭和ガメラ大好き人間の自分からすると、子供向けという原点回帰をしているにもかかわらず、どうにも乗り切れない部分があることも確か。何が乗れないかというとガメラと子供の接し方。ガメラが卵から孵化したところから主人公との触れ合いが始まるゆえ、両者の距離は非常に近いのだが、いざクライマックスのジーダスとの戦いになるとなぜか遠くなる。いやまあ子供がガメラに赤い珠を授けてパワーアップさせているし、心は通じ合っているということは十分分かるが、それでも遠いと感じた。
 昭和ガメラと子供との距離は、位置的には本作よりも遠いかもしれないが、その分ガメラに対して声援を送っている。そしてガメラの一挙一動に一喜一憂し、ピンチの時には励ましチャンスの時には大喜びする。「ガメラ頑張れー!頑張れー!!」「危ないガメラ、気を付けろ!」「ガメラ、火炎噴射だ!!」etc…
 そう、これですよ、これ! 原点回帰だというならなぜこれをやらないんだ?! 折角子供を出しているのに、勿体無いなあ。あとこれは金子ガメラにもいえることだが、怪獣の殺陣がリアルにしようとするがあまり曖昧になってしまっていて、初戦はまだよかったがクライマックスの方になるとそれが顕著に現われてしまった。金子修介や今回の田崎竜也は、怪獣プロレスと揶揄されることが嫌いなのか? しかし怪獣映画を面白くするためには怪獣そのものにも殺陣を付けるべきだ。バトルシーンだけ観れば、あれだけ馬鹿な北村ゴジラの方がよっぽど面白いじゃないか!
 子供を主人公にしているだけに逆に厳しくしましたが、本当に子供を喜ばせたいならリアリティよりももっと大切なことがあるのではないか、と。もし次があるならそこに期待したい。