戦争を招く原因とは?

 今回の事件のことを書くにあたって反戦グループのサイトをいろいろ覗いてみたのだが、とにかく彼等にとって、ブッシュと小泉は憎くて憎くてたまらない、という怨念じみたものをひしひしと感じる。俺にとってはそっちの方がずっと怖い。
 平和主義者にとっての敵は戦争を支持している政権とその代表者であり(特にブッシュなんかそうだ)、彼等を「悪魔」だと祭り上げ、徹底的に批判の叫弾にさらすことをそこかしこで繰り広げている。反戦は結構だが、その行為に何一つ納得出来るものを感じないのは、そこにどこかずれたものを感じるからだろう。


「日本は今、本当に危険な国に変わりつつあります。市営隊を見送る日の丸の木幡と共に、あの侵略戦争の時代へと回帰するかのようです。私たちはそんな危険性をも感じています。」


 ……この発言は某反戦活動サイトから引用したものだが、すでにこれだけでズレているのが分かる。侵略戦争に回帰するのが怖いも何も、このイラク派遣がその過程になるといえる理由がどこにあるのか説明して欲しい。
 第一、他国と戦争をおっ始めるのならば、それこそ100万単位の兵力が必要で、そのために大量の一般人を雇い、兵隊として教練するという手間が掛かる(現時点で自衛官は20数万しかいない)。装備も増やす必要がある。彼等が居住する建物も新たに作らねばなるまい……。そう、国が戦争をやる為にはこれだけのことが出来る余裕がなければダメなのだ。国債の発行額が何10兆円というのに、そんなことをすること事態金の無駄であるし、現時点ではなりようがない。
 確かに、アメリカに対する支持を訴えた時点で何かを覚悟しなければならなかった訳だが、それは「テロリスト達の標的になる可能性」であったはず。それがいつの間にやら自衛隊の派遣=軍国主義への道、というのは短絡的過ぎやしないか。PKO法案が出された時もやっぱり同じ様な批判がされていたが、あれから10年以上経ったが、果たして日本は軍国主義への道を歩んでいるだろうか? 当時よりも逆に自衛官の数は減っているのだが*1
 それに、テロとの戦いを訴えるアメリカを「支持しない」と表明するのもそれなりの覚悟がいる。フランスはイラクの件でアメリカと意見が分かれ、その関係は嫌悪状態になっている。例えばこれが日本だったらどうか? アメリカとの関係が嫌悪になった状態で、果たしてどれだけのことが出来るのか。政治的な面で嫌悪になれば、経済面でも問題は起きるかもしれない。イラク問題が解決してから関係を修復しようとしても、一筋縄ではいかないのは目に見えている。最悪の場合はどうなるか? 日本とアメリカとの安全保障はアメリカ側から一方的に打ち切られ、軍事的にマズい立場になりかねない……。まあこの考えも短絡的かもしれないが、アメリカを「否」ということのマイナス面を何一つ論じないことも、また危険だともいえるのだ。


 一番いいのは、アメリカを敵に回さず、かつ、中東諸国にも評判の良い国であり続けること。そして上手いこと戦争を終わらせるような交渉を粘り強く続けることである。姑息過ぎる? いやいや、日本人はもっと世界の中で生き残る知恵を養うべきだ。誰を叫弾するでもなく、事態を冷静に見る目を持ち、最終的に全てを丸く治めてしまうような、そういう知恵を持てないものだろうか。一番難しい方法ではあるけれど……。

*1:予備自衛官の数は増えているが、彼等が海外に派遣されるようなことはない。有事が発生した時に初めて招集される。