特撮レビュー第7回

[特撮]怪奇大作戦第7話「青い血の女」

 三沢が旧友・鬼島宅を訪問した際、何者かに襲われ手に傷を負った。同夜、帰宅途中の会社員が“動く人形”に首を刺されて死亡した事件で、凶器が同じと判断されたため逆に三沢が犯人と疑われてしまう。「僕ではなくて、別の誰かを狙っていたのでは?」そう思う三沢だったが、またもや発生した殺人人形の惨殺事件を最初に発見してしまった為、さらに彼は疑われてしまう。果たして、この事件の真犯人は?

 『怪奇大作戦』ファンになるきっかけとなった作品その2。最後まで「青い血の女」の正体を明かさないのもいいが、殺人人形の描写は2時間サスペンスドラマにも全く引けを取らない怖さ。ほとんどが夜のシーンで構成されているのも、恐怖感に一役かっている。
 さて話はというと、あらすじでは書いていないが、実は鬼島親子の断絶という現代にも通じる問題が定義されている。結婚し独立すべく父親の元を離れる息子、だが父親は自らの元を離れる息子に対し“裏切り者”と言い放つ。一方の息子は“子供が親元を離れることは罪だというのか”と反論する。どちらの言い分も正しい。子供が親を養うことは親を持つ人間ならばいずれ必ず生じてくる問題だが、子供からすればこのことが「親に縛られている」と思いたくなるのだろう。無論親も“自立して欲しい”という想いもあるわけで、そこで確執が生じてしまう。
 最終的には老人を慕うはずだった「あれ」ですら、老人の元を去ろうとしていたという皮肉。親の思いはどうであれ、場合によっては親自身が、子供が自らの元を去る、という寂しさと戦わなければならない時が来るらしい。この感情は、自分が親にならないと分からないのかな……。