マクドナルドを善として見てみる

 ファーストフード店で特大サイズばかり注文して食いまくる生活を1ヶ月続けるとどうなるか? ……という『スーパー・サイズ・ミー』は未見なのだが、まあマクドナルドのような系統の店は攻撃や非難の対象となりやすい。そうしている側の主張はえてして「そんな不健康なものを売るな」「もっとマトモな食事をしろ」てな感じだが、よくよく考えてみるとこの主張もマトモではない。
 小学校の掲示板によく「写真ニュース」というのがあったが、あの中でもファーストフード批判はされていた。“ファーストフードはカロリーが高いから食べてはいけません。ご飯とバランスの取れたおかずを食べましょう”というような内容で、わざわざグラフで表現してまでそのバランスの善し悪しを解説していたのを覚えている。
 で、自分は当時これを真に受けた方で、余程のことが無い限り好んでファーストフードを食べることは無かったのだが、10代後半の時、マクドナルドに置いてあった小冊子を読んでフト気が付いた。
「ファーストフードはバランスの悪い食事と思われがちですが、ハンバーガーはパンと肉で、これで主食と主菜が摂取出来ます。これにポテトを加えることで副菜も摂取出来るのです。」
 ……言われてみればそうだな、と思わず考えてしまった。ではあの写真ニュースの主張は何だったんだかと再考して、そこに子供に対する誘導的なものを感じ取った。この主張の持って行き方は「チョコレートを食べると鼻血が出るから止めろ」という話にそっくりだ。無論食べ続ければ出ないとは限らないが、どれだけ食べた場合の話なのか。いつだったかTVで“ピーナッツを食べ続けると鼻血が出るのは本当か”を実践した馬鹿がいたが、その時は何十袋食べ続けてようやく出たのである。つまりそうでもしなければ出ることは無く、どう考えても非日常的だ。
 つまりあの写真ニュースは、腹が減っても買い食いせずに1日3食家で食え、と言っていたのだ。そりゃまあ子供の時からファーストフードに慣れ親しんでいる状況を良しとは言えないが、例えば夜遅くまで塾とか行っている子供の食事はどうなるのかな……? 彼等の言う「そんなもの」を食べるしかない状況の子供達の心理を、分かっているとは思えないのだが。
 しかしまあ「そんな不健康なもの売るな」という非難が出来るなんて、贅沢なもんだね。