ローテク勝負

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050505-00000027-dal-ent
 『妖怪大戦争』は妖怪まで豪華キャストだが、実は竹中直人はかつて実写版ゲゲゲの鬼太郎ねずみ男を演じたことがあったりする。近藤正臣が妖怪だなんて聴くと、以前CMで河童に扮していたのを思い出す人もいるだろうが、さらにさかのぼって『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』のアレを連想した人は相当キてます(俺もだが)。
 妖怪の数はCGで増やすのではなく、実際に人を大勢集めたという意気込みはよし。これだけでも大変そうだが、リメイク元となった1968年版はもっと数が少ない。予算や時間に余裕が無かったのか、ざっと観ても50体もいないだろう。にもかかわらずこの映画、リメイクされるほどよく作られていると私は思う。
 この映画で使っている撮影テクニックは“二重露光”と“高速度撮影”という、実に単純なものだ。二重露光は、一度撮ったフィルムを牧戻してその上にもう一度映像を撮ることで、半分透けた映像が完成する。高速度撮影は、フィルムを撮影時に倍速にすることでスローモーションの映像が出来上がるというもの。現代からすれば技術的にはローテクだが、これがまた幻想的な画になっているのだから見事だ。なお68年版の監督は黒田義之という人だが、この方は長らく大映で特撮をやっていた人なのである。だからこそこの画が作れるんだよね。
 特撮好きの自分があえてCGを誉めないのは、こういう効果の高いローテクが好きだからだ。現代では廃れるしかないが、実に捨てがたい。