小栗康平の過去

 小栗康平といえば『泥の河』『眠る男』『埋もれ木』等、寡作で知られる映画監督だが、この方の監督デビュー作は何と東宝映像製作の特撮ヒーロー「流星人間ゾーン」。一般的にはあまり突っ込まれない過去だが、マニアはツッコむのだ(笑)。ちなみにこの番組の放送時間は、日本テレビ系列で毎週月曜午後7時〜同7時30分。てことは「ブラックジャック」とか「犬夜叉」と同じ枠だったのか。
 一応どんな話かというと……地球を狙うガロガバラン星人が放った恐獣ミサイルの中身が、ゾーンファミリーによって回収された。激怒したガロガは、ファミリーの末っ子である明を誘拐し、交換条件としてミサイルを返せと要求する。無論そこにはガロガの罠があるわけだが、いろいろあってファミリーはそのピンチを乗り越えた。だがミサイルの中身が恐獣ジュラーとなって、変身したゾーンファイターに襲い掛かる……というもの。
 まあ話は良くあるパターンなのだが、この「流星人間ゾーン」という番組は東宝が作ってるだけあって、敵怪獣としてガイガンキングギドラまで出てくるという凄い展開を見せる。それだけではない、何とゾーンに味方する怪獣としてゴジラが登場! だったら、最初からゴジラが主役の番組を作った方が、ずっとよかったような気もするんだが(ちょっと怖いけど観てみたい……)。
 そして小栗康平が監督した回でも、初っ端からゴジラはゾーンファイターの特訓相手として出てくる。お前は仮面ライダーの滝和也か!そしてゾーンファイターがピンチになった時、エンジェルとジュニアの手によって呼ばれたゴジラは、どこかにある洞窟の扉がガバッと開いてそこからノシノシと登場。お前はサンダーバードのメカニックか! そしてファイターと力を会わせて恐獣を倒したゴジラは、ファイターに向けてピースサイン。お前はいつそんな仕草を覚えたんだ!
 忘れるところだったが、この回のサブタイトルは「無敵!ゴジラ大暴れ」。お前が主役かよ! 小栗康平のファンならば、とてもじゃないが小栗とは思えない演出に驚け。