大江戸捜査網のテーマ/玉木宏樹

 ……BGMネタとしてはこれが初。東京12チャンネル(現:テレビ東京)で放映された時代劇だが、1970年からスタートして述べ15年間という歴史は、テレ東系のドラマとしては大健闘だ。
 テレビ東京という会社は、昔からずっと良い意味でも悪い意味でも「テレ東にしか作れない番組」を流し続けてきた。放映する映画もまず他局ではかからないようなものばかりだが、それが味だった。豪華さは無いけれど何でもアリというような、何のワクも無い中で思いっきりやっている、そういう局である。
 さて『大江戸捜査網』だが、製作元となる日活も、さらにテレ東としても今までに時代劇なんか作ったことが無いという、おかしな状況下で誕生した番組だった。が、これが大好評。いつの間にやら看板番組にまでなってしまったが、その人気の一因として、クライマックスの戦闘シーンに流れるこの大迫力のテーマ曲を挙げてもいいだろう。高らかに響き渡るホルン、かき鳴らされるティンパニのリズムと、どう聴いても時代劇に使うようなBGMではない。が、これは製作サイドの意向らしく、実は作曲を依頼された玉木弘樹氏も時代劇の音楽は初めてだったのである。
 そう、もはや束縛するものは何も無かった。ただ時代劇であればよかったのである。血湧き肉躍る場面に相応しい音楽として、この曲をこしらえた玉木氏は素晴らしい。