怪奇大作戦 第2話「人喰い蛾」

 蛾に襲われた人間が溶けて白骨化する、という事件が発生。SRIの調査により、残っていた蛾の燐粉から殺傷力の強いチラス菌という細菌が発見されるが、これに意図的なものを感じた三沢は独自に調査を開始する。被害者の中に同じ自動車会社の研究者がいたことに疑問を抱き始めた矢先、彼に何者かの魔の手が迫ってきた!

 本来、放送第1話となるべき話だったが、円谷英二から直々に特撮場面の撮り直しが命ぜられ、放送順が後になった。人間が白骨化するシーンがそれに該当するのだが、これが気色悪いこと気色悪いこと。泡まみれになった骸骨に、よく見ると皮膚の残骸が……ああ、嫌だ。第2回とはいえ、これを日曜夜7時に流すとは……。しかしこれこそ特撮の醍醐味というヤツで、おそらく何の予備知識も無く観た人は度肝を抜かれること必至。だがそれでこそ「特撮」なのだと自分は思う。なお特撮だけではなく、本編もリテイク・再編集されていることを付記しておく。
 ではあるが、完璧でないにしろコンセプトをちゃんと掴んでいた上原正三脚本による第1話と違い、ベテラン金城哲夫が手掛けた2話は「SF+犯罪ドラマ」という図式を作り上げただけで終わっている。後に金城は第3話を上原と共同執筆し、6話を単独で書き上げたが、いずれも「現代の怪奇」というものを掴みあぐねている節がある。これに関しては6話でも書こうと思うが、「怪奇」が目指したものと、金城のそれとにかなりのギャップがあったのではなかろうか。それだけは記しておこう。
 とはいうものの、犯人が日本進出を企む外国資本の手の者だった、というオチに、どこか沖縄出身の金城の心情が伺えなくもない。