怪奇大作戦 第3話「白い顔」

 ライターの爆発による焼死、レーサーの事故死。一見何の繋がりのない事件だが、両者の凶器は何とレーザー光線だった。さらに、被害者は同じ女性に交際、そして求婚を申し出ていたという共通項も浮かび上がる。その渦中の女性・水上順子は、かつて大火傷を負いずっと顔を隠したままの父親・順一郎と、仲良く暮らしているというのだが……。

 初っ端からライター暴発シーンを合成で処理するという大胆な芸当を見せ、自動車の転落、モーターボートの爆発、屋敷の焼失、父親の顔の特殊メイクと、多彩な技術をここぞとばかりに披露している。この辺は円谷プロの面目躍如といったところか。第2話と違い、円谷一の演出もようやくノッてきた感がある。
 過去に妻が自分の元から去っていったように、娘を手放したくないと願う父親。同時に、娘の幸せを願っているのだから、そこに凄まじい葛藤があったのは言うまでもない。順一郎は、妻をどれほど愛していたのだろうか? それこそ、娘の順子にかけ続けた愛情と同じ、いやそれ以上のものがあったのかもしれない。幸一郎の妻もまた、娘の順子が彼を慕うように愛していたに違いない。そして妻は、夫の素顔を自ら望んで見たが、彼女は姿を消した。それから10年たって、娘が父親の素顔を見てみたいと望むようになった。そう、あの時の妻と同じように! 彼が一番望まない別れが、愛する娘との間にも起こりかねない……。そしてついに娘に近付く男達を消していくことで、心の闇が「歪み」となって現われてしまったのだ。
 『怪奇』の中でしばしば登場する、「愛する者への思い」が屈折してそれが「歪んだ犯罪」に結びつく、という形式を堂々と描いたエピソードといえよう。