怪奇大作戦 第4話「恐怖の電話」

 電話口に出た途端、突如として人間が燃え上がる! 父親が焼死する現場に居合わせた娘・滝川令子は、SRIの牧から捜査協力を求められる。だが、事件後の彼女の心理状態をかんがみる三沢と、徹底した原因追及を図る牧は対立してしまう。牧の粘り強い調査の結果、電話回線を利用した犯罪だと判明。同時に三沢は、令子が不審な行動をとっていることに気付く。

 実相寺昭雄演出による第4話。だが製作順序は本作が一番目で、結局撮影は遅れに遅れたためにこの話数になったという。サブタイトル後から実相寺演出が全開で、捜査のシーンを2分近く長回しで撮影したり、顔のどアップが多かったりするなど、普通ではない撮り方ばかり。極め付けは、マンホールから出てくる電話局員を、岸田森の股下からとらえたカットだろう(笑)。無論カットだけでなく、焼き切れた電話回線の追跡シーンや、逆探知する場面での緊迫感はさすが。とはいえラストの自動車追跡シーンでは、スタントの人が合図を間違えて壁に突っ込んでNGになり、また十何時間かけてセッティングしなければならない羽目になったそうである。
 どうしても実相寺演出に目が行ってしまいがちだが、事件の現場に居合わせ、かつ殺された父親達の秘密を知るがゆえに、精神的に追い込まれる女性・令子にも注目したい。演ずるはフジ隊員こと桜井浩子だが、その演技力や大人びた雰囲気は「ウルトラマン」の時から比べるとグッと上がっているのだ。犯罪の偏屈度や犯人の歪みが高い話ではないが、実相寺監督が犯罪ドラマを作ればこうなる、という見本のような一本。