ウルトラマンタロウ

 DVD版ウルトラマンタロウが今日発売されたわけだが、やはりデジタルリマスターの威力は凄い。こんなにカラフルだったのか!と思うことがある一方で、その特撮の精密さに改めて驚いた。
 一例を挙げよう。第1話で、主人公の東光太郎が、港に出現した超獣オイルドリンカーを足止めするために、クレーンを使ってチェーンを超獣に巻きつけるというシーンがある。この部分はDVD第1巻のライナーノーツでも触れていたのだが、とにかく凝った特撮を見せてくれる。ミニチュアが細かく作られているのは言うまでも無いが、模型のクレーンをオープン撮影して見上げたアングルのカットを収めていたり、クレーン内部からの視点を合成で処理したり、最後はチェーンが徐々に伸びていってついにブチリとちぎれるシーンまでもきっちり作っている。この“徐々に伸びていってついにブチリ”というのを表現するため、素材にはいろいろこだわったそうである。
 時間にすれば1分足らずのシーンですらこの力の入れようなのだから、怪獣が街に出現した場合はもう大変。怪獣アストロモンスが街で大暴れするところでは、足や腕をビルに突っ込んだり、車を蹴っ飛ばした先にあるショーウィンドウが爆発するシーンを全て建物内部からのアングルで見せる。そうでなくとも、電柱にはきちんと電線が張り巡らされていたり、ビルには看板が細かく付いていたり、車が走っていたりと(ただ置いているだけではないのだ!)、えらくこだわった特撮カットが目白押しなのだ。
 今さら「タロウ」を低く評価する人はいないと思うが、もしもその考えを少しでもお持ちならば、まずは第1話をじっくりと鑑賞して頂きたい。全編に渡るそのテンションと、特撮レベルの高さを味わって欲しい。