有川貞昌監督永眠

http://www.yomiuri.co.jp/national/obit/news/20050923zz21.htm
 有川氏は東宝特撮スタッフとしては円谷英二氏の直系の弟子になり、1作目『ゴジラ』の頃からずっとカメラを回し続けてきた人物だ。とはいえ実際に特撮のメガホンを取ったのは1967年〜1970年の3年間だけで、後はフリー契約となっている。円谷がまだ東宝で腕を振るい続け、また邦画そのものの製作本数が減ってきたという時期だけに、特技監督有川貞昌という名前はあまり目立たないのだが、長年撮影チーフとして務めてきただけあり、さすがと思わせるカットが非常に多かったりする。
 一番の作品を選べといわれたら、自分は間違いなく『怪獣島の決戦・ゴジラの息子』を挙げる。

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 どうしても滑稽なミニラや教育パパのゴジラに目が行きがちだが、特筆すべきは大胆極まりない合成カットにある。ジャングルを進む主人公達の前に突然カマキラスが出現する(かつ追ってくる)といったシーンでは、複雑な形状の木に合わせてきちんと合成を施し、ボンヤリ見ているだけではその区切りが判別出来ないほど。この辺はカメラというものを知っていないと出来ない芸当だと思う。
 後年はカメラを片手に後輩の育成にあたっていたそうである。合掌。