作詞:阿久悠。

 TBSが年の瀬にこんな特番を放送するという阿久悠氏の作詞活動40周年記念とのことだが、とにかくこの方を凄いと思うのは比較的知名度の高い曲が多いこと。まあ2000曲は作ったというから“数撃ちゃ当たる”のかもしれないが、濫作で良い歌が作れるかということにはならないだろう。
 年齢が疑われるが(←大丈夫だ、既に疑われている)、例として山本リンダの「狙いうち」の二番を紹介しよう。
 ♪(前略)
  女一人獲るために 戦してもいいじゃない
  それで夢が買えるなら お安いものだと思うでしょ
  弓をキリキリ 心臓目掛け
  逃がさない パッと狙い撃ち(ヘイ!)
  世界中の贅沢を どれもこれも身にまとい
  飾り立てた王宮で かしずく男を見ていたい

 ……どうです、このナルシストっぷり。“タカビー”なんて表現を通り越してると思いませんか? そう、阿久悠の歌詞はチャラチャラしてないんです。下手にダラダラ長くなることも無く、良い頃合で終わっているあたりも好感が持てますね(最近の曲の歌詞は基本的に長過ぎると思うのだが)。
 その阿久悠氏は意外にもアニメ・特撮系の主題歌も数多く手掛けている。『宇宙戦艦ヤマト』なんかが代表作だが、先の番組では何と『ウルトラマンタロウ』を紹介するという。この『タロウ』主題歌も、よくよく歌詞を読んでみると実に絶妙だということに気付かされる。「♪ウルトラの父がいる ウルトラの母がいる そしてタロウがここにいる」……これだけでもう「タロウは父と母の実の息子」という設定が分かってしまうところなんて、結構いいと思うんだけどな。