植木等と俺の人生。

日本一のホラ吹き男 [DVD]

　年齢不詳道を歩み続ける荒馬大介が、その第一歩を踏み出したきっかけはこの映画にある。何せ、初鑑賞は中学１年生の時で、ちょうど思い悩んでいた時期に植木等を知ったのだ。
　小学校から中学校への進級は、自分にとっては思いの他ダメージが大きかった。環境の変化はそうだが、周りの人間がガラリと変わったかのような印象を受けたのだ。旧来の友人はともかく、ほんの少し前まで親しくやっていたはずのクラスメートが、どこか遠い存在になっている……。なぜ変わるんだ？　そりゃ確かに教育内容や環境は違うが、皆まで変わる必要は無いじゃないか？　そんな疑問がしばし浮かび、自分だけが「中学」というものに馴染めず浮いているような気がしていた。
　そこへ植木等がやってきた。もはや人生におけるセカンドインパクトといってもいいだろう（ファーストインパクトは特撮と怪獣）。「周りが何と言おうと気にするな。自分の信じた道を行け。苦しくてもそのうちなんとかなるだろう」。そんな教えを授かった気がする。当然のことながら同世代で植木等にハマッた人間など周囲には誰もいなかったが、そんなのを気にする自分ではなかった。とはいえ、趣味嗜好に関しては独自の路線を邁進する息子を見て、親はどう思っただろうか。「育て方間違えた」とか思ったんだろうな、きっと（後で言われそうだが）。
　……で、今改めて『ホラ吹き男』鑑賞してみる。そりゃ中学の時にコレ観たら触発されるわな。